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ウイルコムが会社更生法の適用を申請(2010//15) 

 

PHSのウィルコムが会社更生法の適用を申請して以来、加入者が減少し続けているとNIKKEI PLUSに載っていた。PHS派の筆者としてはぜひウイルコムには頑張って欲しいところだが、この記事で気になった点があるのでコメントしたい。これはクラウドにも関連する基本的な課題だからだ。

 

記事は、ウイルコムの失敗の原因を3つの見通し間違いに求めていて、その1つが、携帯のデータ伝送速度が予想以上に進んだことを挙げている。これは現象として見ればその通りだが、キャリアとしては「それを言っちゃあおしまいよ」の1つだと思う。

 

ムーアの法則はIT業界にいる者なら誰でも知っているだろう。プロセッサの処理能力が18カ月毎に2倍になる、というものだ。これから派生した法則がある。誰も言わないので、筆者は勝手に「ムーアの第2法則」と言っているのだが、それは「通信速度は12カ月毎に2倍になる」というものだ。例えば、一寸データが古いが、KDDIのデータ通信速度は1994年には2.4Kbpsだったのが、2004年には2.4Mbpsと10倍になっている。(210乗は1024だから大体合っている) ウイルコムに限らず、キャリアならこの様な法則は当然熟知してその上で経営計画を立てていなければならなかったと思うのだが、諸賢はどうお思いだろうか。

 

筆者がタイムシェアリングサービスに従事してクラウドまがいのサービスを提供していた時、その衰退の原因がモデムを使って行う伝送速度の限界だったことは既に述べた。 近年のクラウドビジネスの基盤がブロードバンド環境の整備充実であることも既に述べた。従って、クラウドを推進しようと思う者はサービス提供者も利用者も、須らくこのムーアの第2の法則を念頭に置いて設備計画や利用計画を作らなければならない。網が輻輳すればレスポンスが落ちて、とても使い物にならなくなるからだ。特に無線系はそうだ。

 

そこで話しはウイルコムに戻る。筆者がPHSを好きな理由の一つはそのマイクロセル方式にある。端末側の通信帯域要求は今後「ムーアの第2法則」に従って増加するだろうから、自動車電話のコンセプトをベースにした、セルの大きい移動体通信システム(LTEなど)は将来限界に達するだろう。それを解決するにはセルを小さくして、単位セル中の端末数を少なくするしかない。単純な話だ。この点でPHSは一歩先を行っているのである。