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変革はなぜ上手くいかないのか?(2010//6)

ムーアの第2の法則と3つの理由

 

アップルのiPadやアマゾンのキンドルの脅威が騒がれている。技術を持ちながらそれをビジネスに活かし切れていない日本の出版やIT企業の様子を見ると、クラウドと同じパターンであることに気付く。筆者は「日本のIT頑張れ」という立場なのだが、今回も「どうしてこうなるの?」について考えてみた。

 

3月20日のブログで、「市場を支配する法則を明確に意識し、それを忘れないで経営」して欲しい、と書いた。

ムーアの法則は誰でも知っている。ムーアの第2の法則は通信業界にいる人なら知っている人も多いだろう。しかし、これが産業に、自社のビジネスにどの様な変革を要求するかを深く掘り下げて予測を立て、長期経営戦略に活かしている人は、日本ではほとんどいないだろう。何故か?理由はいくつかある。

 

理由その1;環境は与えられるものだと思っている  春になれば桜が咲いて陽気が巡ってくる様に、環境は所与のものとして与えられるものだという文化がどういう訳かビジネスにも敷衍されている。ITの場合、この環境はアメリカから来るので、その波が来たら対応すれば良いと日本では皆が思っている。

理由その2;畳の上の水練が多い  日本の会社も企業戦略の重要性を認識して、社長室や経営企画室を作って、戦略を立てて実行しようとするのだが、失敗例も多い。指名された担当者が、具体的にどの様に体と頭を動かして任務を達成したら良いか心もとない。ビジネススクールで習っただけでは、要するに畳の上の水練でしかないからだ。欧米企業で戦略の実務経験を積み上げて来た者を活用すべきだ。

理由その3;皆が野球型文化を理解しないで俳句を作っている  問題は、そうした組織内の役割を他の組織の要員が理解しなかったり受け入れなかったりする。日本的な全員参加型経営文化を隠れ蓑に、みんなで自分の心象風景に純粋になって俳句を作っている。つまり、「会社の方針は面白くない、自分は自分の方針でやるぞ」という仕儀になる。ITビジネスは野球型の文化でなければならない。外野が一塁手に不満を持っていても、かってに一塁に近寄って守備をしてはならない。 カルチャーを共有させるのはトップの仕事だ。

 

筆者がノーテルでマーケティングをしていたころの、X25パケット交換機ビジネスを立ち上げるプロジェクトの経験は参考になるだろう。 これは後日お話しする機会もあろう。