ブログ / Blog

とてもとても残念なNifty (2010//10)

ビジネスモデルがどんなに大切か 

 

5月19日のブログを補強しようと思う。 

 

富士通前社長の解任に伴うドタバタはニフティーと他のIT企業との統合を巡る交渉が発端であると報じられた。要するに富士通は日商岩井が持っていたニフティーの株を買ってネットサービス展開の主導権を取ろうとしたけど持て余したのでどこかへ売ってしまいたいと考えたのだ。

 

1999年のことだ。当時筆者はロータスでキャリアプログラムを動かしていてニフティーにも足繁く通っていたので内情には通じていたのだ。ニフティーの社員は「富士通の社長が一晩で決めたらしいよ」と話していたが、それからは、富士通から社長が来て、日商岩井から来てニフティーを成功させた幹部が退社し、ニフティーは大々的なキャンペーンを始めた。10年経って、ニフティーは売上高1000億円の企業になったが、その90%は「接続・カスタマーサービス」で、「Webサービス・ネットマーケティング」の売上はたった10%でしかない。

 

ニフティーはGoogleやYahooや楽天の様な会社になれるはずだったのに、これは何故だ???

 

富士通から送り込まれた一人目の社長を後年蒲田に尋ねたことがある。彼は「インターネットはコンテンツが無料なので、これはどうやっても有料にして収益を上げられなかった」と無念そうな顔をした。

 

1998年に設立されたGoogleはインターネットの無料の情報を広告と結び付けるというビジネスモデルでインターネットの世界の覇権を握った。Niftyはそれが出来なかった。何故か。ビジネスモデルを設計し、それを実行に移す知的資源が不足していたからだと、筆者は考える。

 

この失敗の原因の根は、前回のブログで示した富士通の解説員の思考の限界と同根ではないのか?インターネットのコンテンツが無料だという条件を基に、真剣に、継続して、忍耐をもってネットサービスのビジネスモデルを考え続け、実現可能なモデルを構築し、それを評価して投資しようとする文化が日本のIT企業と金融企業に必要だったのだ。勿論ニフティーには戦略企画担当がいたから、彼が怠惰だったのでなければ彼を活かすことが出来なかったのだろう。

 

メインフレームの時代に、フロアーを占拠しているコンピュータが将来は机の上に載る様になることは業界人なら誰もが知っていた。ビル・ゲイツ達だけがその将来の姿にむけてマーケティング主導のビジネスモデルを設計し、それを実現する為に世界規模で投資し、現実の市場を獲得していった。マイクロソフトが何故世界を制覇でき、日本源産のNEC製PC98シリーズが何故敗退していったか。ビジネスモデルの構想力と実現力の差だ。

 

日本メーカにはその力が無いのだろうか?否。任天堂やプレイステーションのSONYなどを見よ、と言いたい。だが、デジャブは未だ続いている。