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 ニューノーマルの本当の意味(2010/10/16)

世界の産業構造がガラッと変わる

 

オバマ政権はリーマンの破綻を端緒とする金融システムの崩壊から何とか世界を救った。米国はそれまで、ドルが基軸通貨であるのを良いことに、世界から借金して買いまくって豊かな生活を続けて来た。この金融破綻の嵐が吹き荒れている間中、米国民は、次は一体どうなることかと、身を屈めてじっと息を潜めていたが、今後はかっての様に豊かでは有り得ないことを理解して慎ましい生活スタイルに変わらざるをえなかった。生活費を切り詰め、貯金をし、一生懸命働くという質素倹約スタイルに変わっている。これがニューノーマル(New Normal)、金融破綻後の新しい“当たり前の状況”という訳だ。失業率は10%に近く、それが近い未来に下がる見通しは無い。これもニューノーマルの一部だ。

 

オバマ政権は短期間に雇用と輸出を増やそうとしている。その課題を、何をどうやって達成しようとしているのか?筆者にはニューノーマルという言葉がそのキーワードだと思う。この言葉はもっと深い意味を持っていると感じている。そして以下の仮説を考えた。

 

つまり、米国はドルが世界基軸通貨であるという特権を利用して生産などを海外に移し、海外の工場から膨大な購買を行い、双子の赤字を増やして来たが、それでも大丈夫と思っていたのは、米国の金融産業の力だったからだ。これが頼りにならないことが今度の金融クライシスで分かったので、別な世界秩序の図を描いた。それは、米国に工場を呼び戻し、米国を製品やサービスの輸出国にする、ということだ。これは、日本を始め東南アジア諸国他が米国への輸出で経済を成長させて来た、その全く逆になる、ということを意味する。問題は、米国には製造に関するノウハウが余り残っていない、ということだ。

 

ではどうするか?最速で効果があるのは、海外の製造業に米国に投資してもらうことだ。投資してもらいたいのは、将来の米国を支える高度な技術力を持った製造業だ。トヨタ始め日本の自動車メーカは70年代の貿易摩擦で米国に進出し、米国企業として定着した。今度も似たような方法を取るだろうか?そうではないだろう。この方法は何カ月も忍耐が必要な交渉を続けなくてはならない。

 

一番速いのは、米国最強の産業である金融業の力を使ってドルを安くすることである。米国の政治力を使って中国の元を高くし、中国を米国製品の市場にすることである。円を高くし、日本の魅力的な製造業に投資してもらうことである。つまり、トヨタやホンダがやったように、日本の製造業が米国に研究所を作り、工場を作り、地元の失業者を雇って給料を払う様にするのだ。

 

考えられない?ドルと円と元のバランスが或る均衡点を超えればそれが可能になるだろう。過去の常識を一旦消して考えれば良い。貯め込んだドル資産を有効活用できるし、何より、中国より米国の方がずっと日本にとって安全だ。この“安全”は二重の意味を持つ。財政的に安全だし、社員の命も安全だ。フジタの社員の様にスパイ容疑で突然逮捕されたら、世界一の死刑大国では、大抵即死刑だ。日本政府は米国政府の様に、外国で拉致された自国民を、軍隊を派遣して救出することはないだろう。