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地球規模の構想力と実行力を2011//24)

Googleを超えるサービスを日本から

 

BRAVIAはSONYの主力TVで、インターネットTVとして売っている。 ホームページを見ると超高解像度機能の他にSkypeやYouTubeVideoOnDemandなどを使って「面白い!」を訴えている。

 

「コンピュータ、ソフト無ければただの箱」と同じく、インターネットTVもネットコンテンツが無ければ超高解像度や3D機能も発揮できない。 コンピュータ産業の主要利潤創出がハードからソフト、ソフトからネットに移って来たことを省みれば、インターネットTV産業の主要利潤の源がネットコンテンツに在ることを否定する人は多くはないだろう。Appleの成功例もある。優れたハードは必須だが、大半の収益を生むのはコンテンツであり、コンテンツから収益を生むにはグローバルなビジネスモデルを構想しそれを実現できなければならない。 この能力の有無がi-modeのビジネスモデルを真似したAppleが成功した理由であり、DoCoMoのi-modeが世界展開で失敗した理由だ。

 

グローバルなビジネス展開力があるSONYは、ではどうしたかと言うと、BRAVIAではYouTubeやVideoOnDemandなどのビデオコンテンツと提携した。日本ではまだ騒がれていないが、SONYはMubiともエクスクルーシブな提携をしている。Mubiは吊画座級の映画をオン・デマンドでグローバルに提供するベンチャーだが、急速に業績を伸ばしている。オン・デマンドでビデオを配信するだけでなく、映画ファン間のソーシャルネットサービスも提供している。ディープな映画ファンなら同じディープな仲間と好きな映画について話し合いたい。この様なネットサービスの成功、失敗はサービスサイトがどれだけユーザの細かいニーズに応えられる様に作ってあるか、だが、Googleの様な検索エンジンはサービスサイトにユーザを導入する以上は期待できない。どんなにサイトをSEO(Search Engine Optimization)してもこれが限界だ。

 

ビデオ、本、CD,衣類、食料などの膨大なコンテンツをベースにするサービスでユーザに財布の口を開かせる、売上増大に最も貢献するのは推奨エンジンだ。推奨(レコメンデーション)エンジンとは、例えばAMAZONで本を買うと、「この本を買った他の人はこんな本も買っていますよ」と言ってもっと本を買わせられそうになる、あのサービスを動かしているエンジンのことだ。優れた推奨エンジンを使うかどうかがネットショップの明暗を分ける。だから米国最大のビデオレンタルチェーンのNetfixは自社開発の推奨エンジンから更に10%売上を増大する推奨エンジンに1億円の懸賞を付けたコンテストを行ったのだ。1億円の賞金なぞ、受賞した推奨エンジンを使って売上をほんの少し上げれば元がとれるのだ。このコンテストでベル研究所以上の最高の成績をあげたのが、Gravity社が率いるチームだった。そしてMubiGravityの推奨エンジンを採用し急速に業績を伸ばしている。

 

SONYのBRAVIAを買うとMubiのサービスが付いてくる。(但し欧米だけ)他社のTVには付いていないので、どうせならBRAVIAを買おうというインセンティブも期待できる。このwin-winのシナリオを裏で支えているのがGravityの、世界のトップレベルの推奨エンジンという構図になっている。

 

アップルがi-modeを見習って成功した様に、グローバルなビジネスモデルの実現能力を持つSONYは(SONYに限らず、だが)Googleやアップルを凌ぐ成果をあげて欲しいと願う次第だ。

(関連リンクhttp://www.kenconsul.com/Gravity.htm