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船員の43%をむざむざと死なしめた旧日本海軍(2012//10)

軍隊は国民に対する「サービス産業」だという認識を

 

「鉄鋼も含め重工業の戦争の被災率が30〜40%であったのに対し、護衛艦がつかなかった商船は約90%が撃沈され、残った船もほとんどが戦時下の急造船。まともな船はゼロに近かった。海運・水産合わせた船員全体の約43%、6万人が戦死した。ちなみに陸軍の戦死率は20%、海軍は16%だ。」と商船三井最高顧問の生田正治氏が日経新聞2011年1月11日の「私の履歴書」欄で述べておられる。戦闘で10%が死ねばその軍団は壊滅と言われている。それにしても船員の43%が死んだというのは異常だ。一体どういう理由からか?

 

海軍は南方の島々に点在する日本軍の作戦行動をサポートする為に日本の商船に物資や兵員を運搬する様要求した。通常は護衛艦を付けるべきなのだが、海軍はそうしなかった。元々日本軍は兵站という概念が薄く、戦闘行為で勇敢であることに有意性を置いていたし、ミッドウェ―の敗戦後は残存兵力の温存を極端に優先させることになった。従って商船は丸腰で出向せざるを得なくなり、易々と敵潜水艦などの犠牲になった。

 

艦船が商船を守ることを日本語では「護衛する」というが英語では「サービスする」という。実は軍隊というのは国民に対する「サービス産業」なのだ。旧日本軍にはこの認識が欠けていた。為に6万人の非戦闘員が死に、多くの財産を失った。そればかりではなく南方の島々に展開した日本兵は棄兵されることになり、その多くは無残な最期を遂げることになった。だから、米軍での日本海軍に対する評価は極めて低いと聞く。

 

日本軍は戦線を縮小すべきだったと思うが、何故そうしなかったのだろうか?恐らく、大本営の見栄というか、「そんなことは在ってはならない。従って無かった様に糊塗しよう」というところだったのではないか?組織のコアにいる者が同じコアにいる権威者の顔を立てる態度に終始したからだろう。この態度は去年原子炉が爆発した時の東京電力の本社でもあったやに見受けられる。

 

日本では陸軍悪玉、海軍善玉的な認識が戦後未だ残っており、例えば数年前の雑誌「ハ―バード・ビジネス・レビュー」の付録に、海軍では誰が一番の名将だったか、などという愚にも付かない特集をしたりする。非戦闘員を守れないで6万人も死なせる軍隊の将が優れているはずがない。現海上自衛隊が旧海軍のこの悪しき伝統を継承していないことを祈る。

 

現在も日本の商船は太平洋戦争当時そのままに丸腰のまま海賊や様々な脅威に対応せざるを得ないまま航行を続け、日本の基幹産業を支えている。海上自衛隊が何故中東から日本へ航行する商船に護衛サービスを提供しないのか?最近外国の警備会社の警備要員を乗船させようとする動きがあるが、日本のビジネスを守るのはやはり日本人でなければ。