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第46回衆議院選挙が自民の圧勝で終った(2012/12/26

死票を無くすには小選挙区に替る新システムを

 

12月16日の衆議院選挙が自民の圧勝で終った。衆議院議員定数480のうち自民が294(61%)、民主が57(12%)、維新が54(11%)となった。新聞は、3年半前の選挙が自民への懲罰選挙で今回は民主への懲罰選挙という論調だ。小選挙区制という機能が見事なまでに機能したと言えよう。

 

だが、こんなに劇的に変って良いのかという心配が残る。今回自民の当選者の7割強が新人だ。いわば素人だ。前回の選挙でも民主の新人の割合はこんなものだったろう。素人が大挙して国会の中で素人政治をやってさんざん失敗してきたのを国民はじっと我慢してきたのだが、今回も同様にならないとは限らない。こんなに新人議員がころころ入れ替わる様なら、国民は政治家をじっくり育てられないのではないか、という問題が残る。自民の中枢は余程上手く指導しなければならないだろう。小選挙区制の欠陥を何とかしなければならない。

 

ご存知のように、小選挙区制では1選挙区の当選者は1人だけで、当選できなかった候補者に入れた票は全て死票になる。今回の選挙での死票は3,165万票で、全体の53%に至る。おまけに投票率は59.32%だ。これに自民の得票率43%を掛けると27%になる。国民の27%の支持で61%の議席が獲得できたことになる。これは「9万票超で落選、4万票強で当選」する1票の格差問題に劣らない大きな問題だ。

 

小選挙区制は、自民を飛び出した政治家達が、日本に2大政党制を作り、政権交代が起こり易いようにしようという意図で出来たそうだが、今回の民主党崩壊劇で2大政党制の夢が儚く消えた以上、小選挙区はもう止めた方が良い。ではどうするか。このブログで以前述べた様に、“誰でも全国区”にすれば良い。比例代表の議席数はそのままにして、小選挙区分の議席を全部「個人全国区」にするのだ。得票数の多い順に当選するから、死票は最少で済む。その代り、ネットでの選挙活動を全面解禁する。そうすれば、例えば鹿児島を本拠地にしている議員に北海道の住人が投票できる。ネットがあれば候補者のことは何処にいたって良く知ることができる。国政選挙なのだから、候補者は自分の選挙地盤を自由に設定して良いのだ。選挙民はうるさい選挙カーの連呼に悩まされなくて済む。

 

関係者はぜひこの案を検討して頂きたい、、、とは思うが、実現は難しいだろうなと思う。なぜなら、この様なネットを基盤にした投票システムは政治学の教科書のどこにも書いていないだろうからであり、システムを考えるコンサバな人達はネットをよくご存知ないだろうからだ。だが、オバマがなぜ当選し再選されたかを分析すれば、ネットをどう活用すべきかが分かる。第一自民にとって、多少人気を落とす政策を行っても政権が引っくり返るリスクを下げることができるし、政治のポピュリズムの呪縛から多少自由になれるし、新人議員をじっくり育てられる。 何より、国民は良い政治家を育てなければ結局自分の問題として跳ね返ってくることを学習したのだから。

(以上の文は12月17日の日経新聞の記事を基にした。)