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モバイル世界大会2013報告(2013//11)

スペイン バルセロナから, Dr. Mehmet Unso

 

第8回のモバイル世界大会(MWC)20132013225日から28日までスペイン・バルセロナで開催されました。今年は100以上の国から1700社以上が出展しました。 開催場所が今回からより広いFira Gran Viaになり、モバイル産業の拡大を反映して参加者総数は72,000人という記録的な数に達しました。

 

Huaweiやサムスンの様な企業は非常に広い展示スペースを使いました。Huaweiに至っては1つのホール全体を使う程でした。サムスンは展示内容に対してフロアーが広すぎた感じでした。一方、国ごとの展示館が約60あり、各国からの新興企業がより安い費用で展示できました。これはスタートアップ企業にとって大きなメリットで、NWCにとって好ましい傾向でした。

 

(M.Unsoy)50以上のミーティングに出席し、イベントと夕方のレセプションとソーシャルな集まりに参加し多数のエグゼクティブに会いました。展示企業の内約4,300社のCEOが来ていると聞きました。 私と我々mSolveの同僚は合計数百人のシニア・エグゼクティブに会って話し、ネットワーキングし、この産業の鼓動を聞くことができました。

 

モバイル産業の動向について: 業界の成長は素晴しいと思います。GSMAのプレゼンテーションによれば、2012年の世界のモバイル産業の直接の被雇用者数は約800万(2008年の17%増)で、世界経済に対する直接の貢献は4900億ドル(2008年の32%増)です。もっと印象的なのは、今後5年間でモバイル産業のエコシステムが世界のGDPに対して10兆ドルの貢献をし、同じ期間にこの業界の設備投資は11兆ドルと予測されていることです。2012年のモバイルユーザ数は32億人程ですが、これが2017年まで39億人に漸増すると見られています。更に、モバイルブロードバンドの接続数が2012年の16億から2017年までに51億(CAGR 26%)に増えると見られています。大幅な増加です。更に驚きなのはモバイルデータの成長です。 2012年のモバイルデータのトラフィック増加はその前の全ての年の増加分を合算したよりも多いものでした。しかし、この将来5年間のCAGR増加率は66%に加速しています。 GSMA CMO Michael O'Haraは、「この様な巨大な数が示すのは、モバイルは地球上の約半分の人々の毎日の生活に欠かせないサービスだということだ。」と発表しました。Wireless Intelligenceに依る興味深いビジネストレンドとして、世界のモバイルによる収入の発展途上国が占める割合は2012年には世界の42%でしたが、2017年までに50%にジャンプするという予測がありました。しかし、2012年の発展途上国のARPUは先進国の約36ドルに対して僅か7ドルでした。

 

主要テーマMWCの主要テーマはLTENFCRCSM2Mconnected city、モバイルマネー、モバイルクラウド、OSS/BSSOne API、仮想化でした。以下、詳しく御説明します。

 

LTEこれはモバイル通信事業者にとって非常に大きな投資です。 従って4G / LTEサービスの提供には重大な関心が集りました。 Global Mobile Suppliers Association (GSA)によると2012年末には世界55か国に145の商用LTE網があり、加入者数は約4800万人でした。 英国の通信事業者Everything Everywhere(EE)は昨年既存の帯域を利用してLTEサービスを開始しましたが、EELTEサービスが英国の人口の43%しかカバーしていないのに自社ユーザの25%LTEにアップグレードしたと発表しました。 TelstraCEOは「LTEの爆発的な成長」を見ており、この需要に応じようとしていると述べました。 興味深いのは、何社かの通信事業者がTD-LTEFDD-LTEを統合してサポートする様求めていたのに、TD-LTEに重点を置く主張があったことでした。

 

LTE帯域:最近の英国でのLTEオークションはMWCの大きな話題でした。 英国のモバイル通信事業者と固定通信回線事業者は競売になった4G / LTE帯域に対し約234000万ポンド(約36億ドル)支払いました。 13年程前、英国の通信事業者は3Gのためにその約10倍の価格を支払ったことに比べると興味深いことです。 この違いは(1)通信事業者が賢くなったから!、(2)無料のWi-Fi用帯域をずっと多く使うようになったから、(3)将来もっと多くの帯域がLTE用にオークションされる可能性があるから、という説明ができます。

 

近距離無線通信(NFC)これはMWCの非常に重要な検討事項でした。というのは、イベント会場などで昼食を予約したり空港で自分の荷物にタグ付けするなどの、小売や運輸の機能など様々なNFCの機能をGSMAはプロモートして来たからです。 ビザ、マスターカード、サムスン、PayPalなどが新しいイニシアチブをアナウンスしました。興味深いのはPayPalに対するビザやマスターカードの競争などの新しい競争が発生したことでした。

そうは言うものの、NFCに関する以下の様な挑戦を多くの人が指摘していました:

機器が十分でない。(NFC Worldによれば現在NFC対応の機器が85ありますが、まだ広く入手できる訳ではありません)

- NFC対応のSIMカードの費用が高い。

モバイルペイメント分野以外のアプリが欠けている。モバイルペイメントだけでNFCが我々の生活の主要な部分になり得るかどうか問題です。 NFCの主唱者はNFCを使ったモバイルペイメントの市場規模は2017年までに約1,910億ドルになると予想しています。(ABS Research) しかしNFCはもっと多くの事をすべきです。 それは兎も角、空港で貴方のバッグにタグ付けができるというアプリは役に立つでしょう!

 

OSS/BSS次世代のサポートシステムには興味深い開発が沢山あります。IP技術を適用した開発を続けて来たおかげで社会がどの様に変容するかが見えてきたからです。 面白いテーマとして、Self Organizing NetworksSON)、ポリシーと課金の統合、Customer Experience Management (CES)があります。その他、費用を削減し効率を改善しユーザの体験を確実により良いものにする統合ソリューションやエンド・エンド間の新ソリューションなどです。全てのモバイルサービスの為のQuality of Experience (QoE)ソフトウエア(モバイルビデオの様な大きな帯域を要求するサービスを含む)にも注目するべきでしょう。

 

OneAPI Exchange.これは、モバイル通信事業者とアプリ開発者間の協力関係をより緊密にしようとしてGSMAが主導しているものです。 AT&T、ボーダフォン、オレンジ、ドイツテレコムのような通信事業者がこのイニシアチブのサポーターの中にいます。 OneAPIを使うと通信事業者は標準またはカスタマイズしたAPIを開発者に提供できます。 個人の特定や認証、支払、位置、メッセージングAPIはこのような標準APIのほんの一部です。 これらのAPIMWCの期間中Connected Cityで大々的に展示してありました。

 

Connected CityGSMAとパートナー達は、車のショールーム、オフィス、町役場、デパート、ホテル、カフェ、居住用のアパートを備えたフルサイズの街並みを展示しました。そこでは様々な革新的なモバイル技術がより良い生活スタイルを紹介していました。 このアプリケーションは教育、エネルギー管理、スポーツ、公共輸送、セキュリティ、水管理などでした。主なポイントを2つ挙げると:

これらを日常生活に実現するには多数のパートナーが必要; モバイル通信事業者だけではこれらを達成することはできず、膨大な数の協力者を増やさねばなりません。

このコンセプトを成功させるには違ったビジネスモデルを展開する必要があります; connected cityアプリを実現するには技術面で必要なイノベーションと同じくらい多くの革新がビジネスモデルにも必要です。

 

Software Defined Networking (SDN 仮想ネットワーク) モバイル通信事業者は帯域増加の要求に直面しています。SDNはこの要求に対するソリューションとして注目を集めるようになりました。 SDNは通信網の仮想化の一形態で、制御プレーンとデータプレーンを分離し、ソフトウェアアプリケーションとして実装するものです。 このように分離するとモバイル通信事業者は伝送帯域のニーズの変化や増加に対して、もっとずっと効率的に、合理的に網資源を管理し、割り当て、最適化できる様になります。 SDNに関する発表がいくつかありました。それはクラウドベースで、仮想化の概念を基本とするものでした。

 

仮想化: 仮想化はMWCの「新しい」流行語の様でした。多くの技術、製品、サービスがクラウドベースや、何かを仮想化するものとして表現していました。 それぞれの違いは細かい活字の説明書を読むか質問しなければを良く分かりません。これらは資源の仮想化、プラットフォームの仮想化、ネットワークの仮想化に関して新しい価値を提案したものでした。

 

Machine to Machine (M2M) または Internet of Things:今回のMWCではM2Mに関する発表が大幅に増えました。 connected cityはその良い例でした。 多くの企業が現在のビジネスの次の段階や発展形態としてM2M市場をターゲットにしています。 興味深い観察として:

モバイル通信事業者はM2Mサービスに積極的に関与して来ています。 従って、LTEのような携帯電話の技術がM2Mサービスを大衆市場に提供する上で主要な役割を果たします。

標準化や拡張性に対する挑戦についてもっと多くの議論が必要です; これらの分野はM2Mを推進する上で注目すべき分野でしょう。

しかし、我々は単純な接続以上に、人々が実際に使うソリューションに向けて焦点を合わせる必要があります。 自動車、医療、エネルギー管理などにはその為の例がたくさんありました。この様な例はもっと必要です。

 

RCS (Remote Computing Service) GSMAによれば通信事業者約30社がRCSを提供済みか、提供を確約しています。端末ベンダー9社、主要なインフラ設備ベンダー5社、ホスト・ソリューション・プロバイダー約16社がこれに関与しています。SAPは供給業者としてpay-as-you-go というクラウドベースの技術を発表しました。これはモバイル通信事業者が提供するRCS(Remote Computing Service)の複雑さと費用を削減しOTTサービスに対して少し対抗し易くします。

 

興味深いGSMA賞の受賞者は次の通りです:.

ベストスマートフォン: Samsung Galaxy S3.

今年の装置製造事業者: Samsung.

ベストモバイルインフラ: Samsung ElectronicsのスマートLTE 網に対する取り組み

ベストモバイル技術ブレークスルーAccuris Networks.

消費者向けベストモバイルアプリ: Facebook.

ベストな消費者向けモバイルComviva.

企業向けベストモバイルアプリ: Evernote.

ベストなモバイル用安全とセキュリティ製品: Adaptive Mobile and Syniverse.

 

報告は以上です。

 

 

Dr.MehmetmSolveパートナーズのマネージングパートナーであり、KenConsultingExecutive Advisorです。

mSolveパートナーズLLCは、モバイル分野の企業に事業開発などのアドバイスを提供する会社です。mSolveはモバイル分野の主要企業の起業家、投資家、リーダーとともに働き、企業にとって最も重要な戦略と財務目標を達成するべくサポートを提供します。mSolveは世界中にいる17人のプロフェッショナルと20人のアドバイザーのチームで構成します。

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