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シャープ社員へのメッセージ(2016/8/5)

日経新聞のお花畑委員はどうするつもりだ?

 

2016年3月31日付の日経新聞3面に、「シャープ受け身の1か月」という見出しでシャープが台湾の鴻海に身売りした経過が載った。記事は「そこからは郭董事長のしたたかな交渉術が見えて来る」とあり、そこに西條都夫編集委員の「外資参加怖がるな」と言う見出しの囲み記事がある。西條氏は電機産業を自動車産業と比較し、「外資の傘下に入ることは決して悪いことではない」「怖がるばかりが能ではない、鴻海という異質なプレーヤーの力を導入することでシャープは再生するのか」とシャープ社員に軽挙妄動せずに鴻海に取り込まれることを勧めている。

 

外資のIT企業で30年生き抜いて来た筆者はこの様なお花畑の発想にはなれない。記事からは、この編集委員のドメスティックな経歴が透けて見える。鴻海は台湾企業とは云え、日本の仮想敵国である中国共産党政府系の企業であり、契約社会の欧米の企業ではない。鴻海はシャープ社員の身分を保証すると言っていたが、1000人を削減検討する(同4月28日記事)と言い、3000人規模の削減を要求(同5月14日記事)し、組織改革を始めたが出資契約に基く3,888億円の振込は未だ(同7月16日記事)だ。「中国当局の独占禁止法の審査が想定以上に長引き、実現していない。」「中国側と鴻海の交渉過程がシャープには見えにくい」のだそうだ。

シャープはユニークな技術と製品を持っていたが、無能な経営層が事業採算を悪化させ身売りに追い込まれた。彼らは中国人にとって契約書が唯の紙切れに過ぎないことも知らず、鴻海の口約束に乘って日本の貴重な宝(技術と技術者)を敵国中国に売り渡し、会社組織をめちゃくちゃに破壊され、社員を長期間不安に陥れ、4,000億円を振り込んでもらうのを、口を開けて待っている。何と言う愚かな様(ざま)だろう。西條都夫編集委員は自分の論説を信じて来たシャープの社員にこの現状をどう言い訳するだろうか?

鴻海(中国)はおそらく4,000億円をあれこれ理由を付けて払わないか長期の分割払いにするだろう。彼らにとって欲しいのは中国の電機産業を組み立て製造から次の段階に引き上げる技術であり技術者だけであり、吸い取れるものを吸い取ったらおしまいだ。要らない人間はあれこれ条件を付けて居られなくするだろう。

従って、シャープは4,000億円を振り込むまでは鴻海とは今後一切交渉すべきではないし、これが敵わないならば、本事件を国際法廷に提訴しても良かろう。一方、シャープの若い社員にはスピンアウトをお奨めする。シャープが今持っている技術資産(特許とか設計図とか)は数年すれば旧式になってほとんど役に立たなくなる。現在の技術資産を将来の収益にできるのは技術者だから、シャープに残って不本意な仕事をするより、自分の発想や技術を思いきり活用したビジネスを始めるべきだ。これが日本の産業を新しい段階に変える。産業再生機構や日本の投資家はこの様な有能な日本の技術者(宝)が安心して新規ビジネスを展開できる様、エンジェルやマネジメントなどの多方面なサポートを提供すべきだ。鴻海には4,000億円でドンガラだけ渡せばよい。